この記事は、日本史に興味を持っている社会人に向けて書いています。
「1駅を移動する間(約5分間)にざっくり日本史を楽しめる記事」を目指しています。
レベルは初心者向けの中学高校の日本史、
そして何処から見ても1話完結で見れる記事を目指しています!
本記事では「平安時代・桓武天皇の時代」を見ていきましょう。
平安時代の幕開け
平安時代とは「第50代・桓武天皇」が平安京に遷都してから、
鎌倉幕府成立までの時代のことを指します。
それまでの首都は現在の奈良県にある「平城京」でした。
この頃、平城京では仏教勢力が政治に対して力を持っており、
桓武天皇はこれらの影響力が弱い地域への遷都を考えるようになります。
長岡京と平安京
784年、長岡京(今の京都府)へと遷都します。
しかし、翌年785年、長岡京の造営責任者の「藤原種継」が暗殺される事件が発生。
また水害などの見舞われ、造営途中で断念することになります。
その後、和気清麻呂の助言により、794年、さらに上流の「平安京」へと遷都することになりました。

長岡京も平安京も現在の京都府、当時は平城京の山々の背にあるため「山背国」と呼ばれていましたが、
平安京遷都と、周りの山々が城のように見えるため、「山城国」と改められました。

この794年の平安京遷都から「平安時代」が始まります。
桓武天皇の政治
桓武天皇は、乱れてしまった「律令政治」の立て直しを行います。
また、東北地方で力をもっていた「蝦夷」の鎮圧や、
地方政治の乱れの立て直しを行っていきました。
そのような情勢の中で新しい令外官(役職)が生まれていきます。
桓武天皇の政治を見ていきましょう。

健児の制
桓武天皇は民衆の負担を減らそうとします。
それまでの徴兵制度により、民衆が兵隊として徴兵されていました。
しかし、兵役中は農作業が出来なくなり農民の負担が高くなります。
モチベーションは高くなく、戦力としても民衆の負担としても良くない状態でした。
そこで792年、
地方の有力者である郡司の子弟達や有力農民などを交代制で兵役勤務させるように変えていきます。
この子弟を健児といい、この制度を健児の制といいます。
勘解由使
この頃、地方を収める国司が朝廷から地方へと派遣されていました。
県知事のようなものですね。
この国司の交代が不正なく行われているのかチェックするための令外官が「勘解由使」です。
国司は地方の税をコントロールしているわけですが、
国司交代のときなどに、税を必要以上に自分の懐に入れるなど、不正を働くことがありました。
これによる地方政治の乱れを改善しようと、そういったことが無いように監督するポストを作ります。
いわゆるダブルチェックを行う役割を担っているのが勘解由使です。
農民の税を軽減
当時の律令体制による税は重く、浮浪者や逃亡者が生まれ、秩序が乱れていました。
そのため、税が入ってこなくなり、税負担の軽減を行っていきます。
まずは国司のもとで最長60日働く雑徭の期間を30日にします。
次に、稲などの強制的な貸付である公出挙の利息を5割から3割に減らします。
そして口分田を与える班田の期間を6年から12年に一度に変更しました。
これらの税軽減を行うことで、農民の負担を軽減していきます。
征夷大将軍と蝦夷平定
東北地方は当時中方政府の支配下になく、蝦夷と呼ばれる人々によって成り立っていました。
中央政権との仲は良好ではなく、
780年、49代・光仁天皇の時代に、現在の宮城県にある「多賀城」が蝦夷の族長、伊治呰麻呂によって占拠され焼失するといった事件がありました。
789年、紀古佐美が派遣されますが、蝦夷の族長、阿弖流為に敗北します。
桓武天皇は蝦夷を平定するため「征夷大将軍」という令外官を作り、
坂上田村麻呂を任命します。

そして、阿弖流為を降伏させ、802年、多賀城より北の北上川流域に「胆沢城」を築き、
翌年803年に、更に上流に「志波城」を築きます。

徳政相論
首都の造営と東北征伐の2大事業によって平民は疲弊していました。
桓武天皇は日本によって良い政治、すなわち徳政について
805年、藤原緒嗣と菅野真道の有識者に意見を求めました。
主な議題となったのは、平安京の造作と蝦夷討伐などの軍事です。
藤原緒嗣は「平安京の造作と軍事が平民を苦しませているので、やめた方良い」といい、
菅野真道は「造作と軍事は完遂すべき」と意見が分かれます。
桓武天皇は藤原緒嗣の意見を取り入れ、この2大事業の中止を決断します。

この討論を「徳政相論」と呼びます。
桓武天皇の子の時代へ
翌年806年、25年在位した桓武天皇は崩御し、
桓武天皇の子である第51代・平城天皇が誕生し、子の時代へと移っていきます。
参考資料: 詳説日本史B 改訂版 [日B309] 文部科学省検定済教科書 地図でスッと頭に入る古代史 著者:昭文社 出版 編集部 一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書 [ 山崎 圭一 ]