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PMBOKガイド第7版 書評

PMBOKガイド第7版の紹介

先日、プロジェクトマネジメントの知識体系集である、
PMBOKガイド第7版の日本語版がリリースされたので読んでみました。

本日はPMBOKガイド第7版の紹介と簡単な概要を紹介したいと思います。

分厚い第6版と比べると、
その半分以下のページ数になり随分コンパクトになっています。

またカラーな図も利用しており見やすくなっております。

構成は主に2部構成になっており、
1部は「プロジェクトマネジメント標準」
プロジェクトマネジメントに必要な基礎知識や、
プロジェクトに関わる際の振る舞いの指針などが書かれています。

2部は「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)」
つまり、2部がPMBOKガイドということですが、
1部の「プロジェクトマネジメント標準」とのつながりも書かれているため、
1部と2部は分けて考えるものではないという印象です。

プロジェクトマネジメント標準

価値実現システム

PMBOK第6版までも、
プロジェクトマネジメント、
プログラムマネジメント、
ポートフォリオマネジメント、
定常業務などがありました。

これらは一体何のために存在しているのでしょうか?
プロジェクトマネジメント標準では、
価値を実現するためのシステムであると書かれています。

価値とは、顧客などのニーズを満たす製品などを生み出すことや、
組織にとって必要な変革を起こすことなどが該当していきます。

そのような価値を生み出すための価値実現システムの構成要素が、
プロジェクトやプログラム、ポートフォリオや定常業務と書かれています。

価値実現システムといっても正直ピンとこないのですが、
ステークホルダーに対し
「価値」を創出するための活動を行うことがプロジェクトを含んだ活動である。
ということなんじゃないかと思っています。

プロジェクトマネジメントの原理・原則

プロジェクトマネジメントの原理・原則は、プロジェクトに関わる人々の行動の指針を書いています。

個人的には一番参考にしたい項目です。
プロジェクトに関わっているといつも「これで正しかったのだろうか?」と迷うことがあります。
思った以上に、倫理観や道徳を考えてしまうことがあります。(私だけかもしれませんが…)

そんな指針を下記の12個の原理・原則として説明されています。

  • スチュワード(執事)シップ
  • チーム
  • ステークホルダー
  • 価値
  • システム思考
  • リーダーシップ
  • テーラリング
  • 品質
  • 複雑さ
  • リスク
  • 適応力と回復力
  • 変革

プロジェクトマネジメントを行っていると、振る舞いに迷うことがあります。
そんな際に「プロジェクトマネジメントの原理・原則」
ヒントになるような気がしています。

このような倫理や道徳、
このように振る舞うべきといった考え方ってとても重要だと思います。

PMBOKガイド第7版

PMBOKガイド第7版では、プロジェクトの活動領域であるパフォーマンス領域
それらを組織やチームに合わせて適応させるテーラリング
パフォーマンス領域にアプローチするモデルや方法作成物の3つの章で書かれています。

プロジェクト・パフォーマンス領域

プロジェクト・パフォーマンス領域は下記のように8つの領域に分れており、
それぞれ相互に関連しながら依存しあう領域となっています。
これらの領域に対して価値を提供するために活動していくことになります。

  • ステークホルダー
  • チーム
  • 開発アプローチとライフサイクル
  • 計画
  • プロジェクト作業
  • デリバリー
  • 測定
  • 不確かさ

これらの領域に対して
「 プロジェクトマネジメントの原理・原則 」を振る舞いの指針としたうえで
活動していくことになり、それぞれの領域のポイントがしっかり書かれています。

テーラリング

プロジェクトはそれぞれ独自性があれば、組織の文化や背景もさまざまです。
状況にあわせてニーズにあわせて適応させていく必要があります。
それらの適応がテーラリングに当たりますが、
その適応に関するポイントが書かれています。
第6版にもテーラリングについて書かれていましたが、
第7版ではテーラリングの手順からはじまり、より分かりやすくなっています。

モデル、方法、作成物

この章では、よく利用されるモデルやフレームワーク作成物等について書かれています。
6版までに書かれていたタックマンモデルやコンフリクトモデル以外にも、
新しく書かれているモデルもあります。

第7版の書評

第6版までの分厚さはなくなり、コンパクトになりました。

第6版から全く変わっているわけではなく、
それまでのプロセスやツールと技法に書かれていた内容も含まれつつ、
プロジェクトのマネジメントの原理・原則や、
パフォーマンス領域などといった形に再編成して、
より分かりやすくなったと思います。

私自身もまだ読み込み切れていませんので、
もっともっと読み込みつつ、
プロジェクトで困ったときに参考にしていきたいと思っています。

また今後も、
PMBOKガイド第7版から学んだことや気づいたことを
皆さまに紹介出来ればと思っております。

本日はPMBOKガイド第7版を読んだ簡単な書評を紹介させていただきました。

参考資料:
プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+
プロジェクトマネジメント標準
PMI日本支部 監訳