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「タスクの担当者って一人?」役割を明確にするRACIチャート

「役割を明確にする」 RACIチャートを学ぼう

「このタスクって今どうなっている?だれか見ている?」
「僕はもうこのタスクを終わらせてますよ。」
「いやいや、これで終わったとは言えませんよね。」
といった会話が発生することないでしょうか?

本日はタスク(アクティビティ)の役割を明確にするRACIチャートについて紹介したいと思います。
RACIチャートを作ることでタスクの役割を明確にして、上記のような問題を解決していきましょう。

タスクに関わっている人を分類してみよう

例えばここに「仕様書を作る」というタスクがあるとします。
この「仕様書を作る」というタスクに関わる人は一人でしょうか?

違いますよね。

仕様書を作る人もいれば、その作った仕様書を確認してチェックする人もいます。
また、実際に仕様書を見る人もいますよね。
さらに仕様書を作るときに「作成に困ったらこの人に相談しよう」という人もいるかもしれません。
このように、タスクに関わる人は多岐にわたっていきます。

このタスクに関わる人を明確にするツールの一つがRACIチャートになります。

RACIチャートにおける役割分担は以下の4つに区別されます。

Responsible(実行責任者)

タスクを完遂する事に責任をもつ役割です。
上記の例ですと、
「仕様書を作る人」もしくは「出来上がった仕様書をチェックする人」に該当します。

Accountable(説明責任)

「このタスクどうなっているのかね?」と聞かれたら、答える役割です。
タスクの説明責任を持ちます。

例えば、タスクの状況を上司が聞きに来ました。
上司「君がこのタスクの責任者かね?」
Rさん「いや、私はAさんに言われた通りに実装しただけです。」
Aさん「Bさんが作れっていったんで、Rさんに伝えただけです。」
Bさん「わたしですか?!」
上司「結局、だれに聞けばいいのかね!!」

といったたらい回しを防ぐために、
「このタスクに関しては私が説明します。」といった役割になります。

説明責任者は原則一人です。
例えば、説明責任者を二人割り当ててしまうと、
言っていることに矛盾が生じた場合、どちらが正しいのか不明になるためです。

Consult(相談対応)

タスクに対して相談を受ける人です。
「このタスク、上手くいかなくて…」といったときに相談を行う役割です。
双方向のコミュニケーションを行います。

Inform(情報提供)

タスクの状況の報告を受ける役割です。
上司などに状況を報告する例ですと、上司にあたります。

一方通行のコミュニケーションを行います。

上司から「私、それ聞いていないんだけど。」といった状況が起こらないように予防できます。

Responsible,Accountable,Consult,Informの頭文字をとってRACIチャートといいます。
RACIチャートではタスクに対し、それぞれの役割の頭文字を記述します。
同じ役割を二つ担うこともあります。
例えば、下記の例ですと、仕様書作成タスクに関して、
実行責任と説明責任をAさんが担っています。(ただし、説明責任者は1タスク1人までになります。)
その際は/で区切ります。

タスク名AさんBさんCさんDさん
仕様書作成A/RCRI
テストの実行CRAI
RACIチャート例

RACIチャートで役割を明確にしよう

役割を明確にすることで、責任範囲が明確になります。
誰が何を担当するのか?第三者の目から見ても明確になりますね。

RACIチャートは作りっぱなしでなく、
更新していくことで、生きたチャートにしないと意味をなさなくなります。

実際に作成する際は役割を明確にしなければならないので、
大変なこともあるでしょう。

説明責任者と実行責任者を明確にするだけでも効果は大きいと思います。

RACIチャートの他にも同類の分類の方法はありますので、
ご自身のプロジェクトに沿った方法で作成してみることをお勧めします。

参考:プロジェクトマネジメント知識体系ガイド PMBOK®ガイド 第6版