孫子の兵法から事前準備の重要性を学ぼう
何か物事を始めるときに、皆さんは事前準備をどのくらいやっていますか?
例えばプレゼンテーション。
「プレゼンの資料が出来た!」後は明日の本番を迎えるだけだ。
そう思って、いざプレゼンテーションがはじまると、
「時間超過」や「上手く説明出来なかった」といったことはないでしょうか?
本当はプレゼンテーション自体の練習をするともっと上手くできたかもしれません。
会議はどうでしょう?
事前にアジェンダを決める事なく、ダラダラと始まって横道にそれる会議ってシンドイですよね。
でも、事前にアジェンダを用意したり、会議の前にあらかた内容を決めておけば、
こちらの想定通りに合意が取れるかもしれませんね。
事前準備がいかに大切なのか?
プロジェクトマネジメントの知識体系集であるPMBOKでも、
要求事項の収集やステークホルダー(関係者)の特定などは、
プロジェクト立ち上げの早い段階で必要になってくる重要なプロセスとなっております。
本日は、2500年前の兵法書、孫子の兵法「形篇」より、
事前準備についてお伝えします。
「プロアクティブに動く」先を予想し未来に目を向ける
形篇の中に、
「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」という言葉があります。
これは、
「勝利する者は、まず勝つための条件を整えてから戦いに挑むが、
敗北する者は、まず戦ってみてから勝利を望む」といった内容です。
「とりあえずやってみないと分からない」というセリフをよく聞きますし、
分からないこともあります。
「行動せずに考えてばかりいてはチャンスを逃す」といったセリフも良く聞きます。
その通りだと思います。
それでは孫子の教えは「行動しない」と伝えているのでしょうか?
そうではないですよね。
PMBOKやPMP(ProjectManagementProfessional)を学習していくと、
プロアクティブに動くことを求められます。
プロアクティブのプロとは、「前に」という意味です。
事前に問題が起こる前に、未来を予測して行動するわけですね。
「とりあえずやってみる」の「やってみる」ということには変わりないんですよね。
ただ、「とりあえず」じゃないんです。
その視点が未来を想像しながら行動するのか、目先に目を向けて行動するのか?
その違いだと思います。
事前準備とは、まさに未来を想像しながらプロアクティブに行動することですよね。
優秀な軍師の挙動は当たり前の行動に見える
未来を想像してプロアクティブに行動すると、
実際に戦闘が始まった時、勝利は当たり前のように見え、
世間の評価は低く見えると孫子は伝えています。
ドラマティックな戦闘は世間の受けは良いですが、不確実で危険な戦いであると伝えています。
このような事前準備の行動は見えないことがあります。
例えば、一見何も仕事をしていないような部長がいるとします。
一般社員からは「あの人何をしているのか分からない。」と言われているとします。
しかし、一般社員からは見えない所で、
他社から好条件の案件を取ってきたり、さまざまな活動をしていることがあります。
私もこのような人物を何人も見てきました。
一見当たり前に働ける状況も、そういった方たちがプロアクティブに動いてたお陰かもしれません。
何故なら見ている視点が「未来」だからです。
こういう動きを知るためには、
自分の視点を「未来を想像し、今どう動くべきか?」に変えていくと、
そういった人々の行動が見えてくるかもしれませんね。
勝つべくして勝つ
形篇の最後に
「積水を千仞の谷に決するが如き者は、形なり」という一節があります。
水の流れをせき止めて積水させ、決壊させて谷底へ流すと、それはもう止められない勢いになります。
同じようにしっかり準備した部隊の前では勝敗はその時点で決まっています。
事前準備の時点から未来を予測した戦いは始まっており、
実際に実行するときは、もう勝敗は決まっているものです。
プロジェクトマネジメントの知識体系集PMBOKを見ても49プロセスありますが、
最も多いのは「計画プロセス」です。
事前準備はただの準備ではなく、既に戦いはプロアクティブに未来を想像しながら始まっているのです。
そして実行フェーズになれば、それは既に結論が出ている。
我々現代人もそういった心持ちで物事に取り掛かる必要があるのでしょう。
参考書籍:孫子 (講談社学術文庫) 著者:浅野 裕一
「孫子の兵法」に関する記事は下記の「まとめ記事」からどうぞ。