孫子の兵法

孫子の兵法「行軍篇」にまなぶ・チームビルディング!

チームが上手くいかない原因、
本当に人が足りないことが問題ですか?

こんなことを耳にすることはないですか?
「うちのチームには人が足りなくて上手く回っていない。もっと人をいれないと…」

しかし、上手く回っていないのは本当に人手不足が原因でしょうか?

本日は「孫子の兵法・行軍篇」の「兵は多きを益とするに非ざるなり」という一節から、
チームビルディングについて考えていきます。

多ければ良いというものではない

兵は多きを益とするに非ざるなり

孫子は行軍篇の中でこう言っています。
「自軍の兵力は少なくとも、軽率な行動を取らなければ、最後は敵を思い通りに屈服させる事が出来る」

また、
「周到な用意がなく、敵を侮るだけでは失敗するだけ」とも言っています。

現代のプロジェクトでも見かけるのが、
「上手くいっていないから、人を沢山ジョインさせよう。」
「優秀なリーダーを何人も入れよう。」というシチュエーションを見かけることがあります。

しかし、上手くいっていないのは人員リソースの問題だけではないはずです。

プロジェクトの道筋が立てれていないことが問題かもしれませんし、
プロジェクトの方針が決まっていない事が問題かもしれません。
さまざまな問題が内包しており、
人員リソースの問題はそのうちの一つに過ぎないはずです。

プロジェクトの道筋が立っていない時に、人を投入しても露頭に迷い、
投入した人たちに仕事を作ってあげる必要が生じます。
そうすると、そもそもの問題だったプロジェクトの道筋はますます立てる事が出来なくなっていきます。

また、優秀なリーダーを何人も投入すると、意見の食い違いが起こり、
まとまるものもまとまらなくなることだってあります。

その結果、
「こんなに人を投入しても上手くいかないのか…。よし、もっと投入しよう」となってしまったら最悪です。

「兵は多きを益とするに非ざるなり」
チームメンバーは多ければ多いほど良いというわけではないと孫子は言っているのですね。

コミュニケーション・チャネル

コミュニケーションを行うと経路が発生します。
例えばAさんとBさんがいれば、そこに一本の線が生まれます。

さらにCさんが参加すると下記のように3本の線が生まれます。

その上更にDさんが参加すると下記のように6本の線になります。

この線をコミュニケーションチャネルと呼びます。
コミュニケーションチャネルは Nx(N-1)/2 で計算する事が出来、
例えば10人なら45本、100人になれば4950本になるわけです!

人が増えれば、指数関数的にコミュニケーションチャネルが増えていくわけです。

このようにコミュニケーションチャネルが増えれば、
当然管理コストが上がっていきます。

信頼関係を築いていく

孫子は言っています。
「兵隊との信頼関係がまだ出来ていないのに、罰ばかり与えると、兵士の心は離れていく。
逆に、兵隊との信頼関係が出来ている状態で罰を与えず甘やかしていると、役に立たない兵士になる。
信頼関係を築いた上で、時にやさしく、時に厳しく、そして公平に扱っていくことで心が一つに結ばれていく。」

まだ出会ったばかりなのに、正論を頭ごなしにつきつけたとしても、
拒否反応を示されたりすることもあります。

凄く仲の良い部下についつい甘い態度を取ってしまう事など、私も心当たりがあります(汗)

しかし、このように丁寧に信頼関係を築いたチームは、
例え人数が少なくとも強固なチームになるのではないでしょうか?



「浅野裕一さん著書の孫子」にこんなことが書かれていました。

人間は必ずしも他人の部下になることを嫌いはしない。
ただ、信頼できない主人に仕えるのを嫌うだけである。

孫子 著者:浅野裕一

まさにその通りだと思います。

チームは人で作られています。
チームの強みを人員リソースの数や予算など定量的な数値で測りがちです。
しかし、人数よりも重要視すべきは「信頼関係の構築」ではないでしょうか?

そのように2500年前の兵法書が現代の我々に問いかけてくるようです。

参考書籍:孫子 (講談社学術文庫) 著者:浅野 裕一