凡そ戦いは、正を以て合し、奇を以て勝つ
PMBOKやアジャイル開発などの本をパラパラとみて
「そんな教科書通りにいかないんだよ。」と食わず嫌いになっていることもあるでしょう。
では勘や経験にだけ頼るのはどうなのでしょうか?
それで上手く進んでいれば良いでしょうが、そうじゃない場合も多々ありますよね。
2500年前の兵法書、孫子の兵法にはこんな一文があります。
凡そ戦いは、正を以て合し、奇を以て勝つ
「教科書的な正攻法」の土台があった上で「応用を利かせた奇策」で勝つ。
両方必要だと伝えています。
正攻法とはなんでしょう?
奇策とはなんでしょう?
本日は「孫子の兵法 勢篇」より、正攻法と奇策について、
現代でも役に立つ考え方をお伝えします。
経験だけに頼らず、正攻法を土台にしよう
正攻法とはなんでしょうか?
プロジェクトの進行に関しても、
プログラミングコードを記述する際にも、
はたまた「ドルコスト平均法」など、投資をするにしても、それぞれ型がありますよね。
型の利点は、一般的であるがゆえに理に適っていることが多く、
またラーニングコストも抑えることが出来ます。
例えば、外部のトレーニングコースなどに依頼することも出来ますし、
資料も沢山転がっているでしょう。
このような「正攻法」は、それまでのさまざまな経験がまとめられて洗練されているものが殆どです。
洗練されているからこそ、一般化しており、正攻法であるのです。
これを学習し、知っておくこと。
また実用してみること。
「正攻法」を行わないデメリットはありませんよね。
唯一あるとすれば、学習コストでしょうか?
しかし、学習コストと正攻法のラーニングの費用対効果を考えた時、
正攻法のラーニングの方が大きいことは明白です。
日頃から学習を通して、正攻法をラーニングしていくべきなのです。
しかし、そうなってくると当然競合も正攻法を利用してくることも考えられますよね。
そこで奇策が出てくるのです。
では、奇策とはなんでしょうか?
正攻法だけに頼らず状況にあわせて応用しよう
孫子は正攻法だけではなく、奇策の重要性も説いています。
こちらが正攻法でかかり、
競合する相手や状況側が準備が間に合っていなければ、そのまま上手く進むかもしれません。
しかし、敵対する相手も正攻法を使ってくる場合どうなるのでしょうか?
五分五分になり、正攻法のメリットはかき消されてしまいますよね。
相手や競合、またはターゲット市場などに対して、隙をついていくのです。
奇策を現代に置き換えて活かしていくとすると、応用と捉えることも出来るでしょう。
経験・勘・度胸をKKDと呼び、忌み嫌われてきておりますが、
「正攻法」という土台の上で、これらの経験・勘・度胸は 時として「奇策」として活きてくることもあるでしょう。
例えばPMBOKガイドに書かれているテーラリングなども、
ある意味「応用という名の奇策」と捉えることも出来るでしょう。
経験による強みや知恵が試され来るわけですが、
「正攻法」がベースにあるからこそ「奇策」も活きてくるわけです。
正攻法と奇策を利用する事で無限の可能性が広がる
孫子は伝えています。
「音階(ドレミのような…)は五段階しかないが、その組み合わせは無限の音色となる。」
孫子は凄く現実的なことを伝えていると思います。
「このフレームワークに沿えば安心。全て上手くいく」ではなく、
かつ、そのような「フレームワークが無駄」とも言っていないのですよね。
フレームワークという土台の上に、奇策という応用を考えていく必要があるという考え方なのだと思います。
「奇策を適切に繰り出すことが出来る者は、定まることのない天地のように、大河の流れのようだ。」
奇策を上手に使っていきたいものですよね。
参考書籍:孫子 (講談社学術文庫) 著者:浅野 裕一