孫子の兵法 「算多きは勝ち、算少なきは敗る」
皆さん、何かを始めるときに計画をしっかり立てていますか?
本日は孫子の兵法から、
「算多きは勝ち、算少なきは敗る」という一文を通して、実行に移す前に計画を立てる必要性についてお伝えします。
「算多きは勝ち、算少なきは敗る」とは、
「戦争の前に、しっかり準備をしていれば勝つし、場当たり的な行動をしていれば負ける。」といった意味です。
「そんなのあたりまえじゃない?」という声が聞こえてきそうです。
しかし、私の過去も含めて、この「当たり前」がどのくらい守られているのでしょうか。
「算多きは勝ち、算少なきは敗る」、
事前の計画と準備、
私自身も改めて振り返ってみると、場当たり的な行動をしていたなぁと思うことも多々ありました。
しかし、ここに時間を費やしておかないと、やらなくても良いことに時間を費やし、
不利益を被ることもありますよね。
孫子の時代である春秋戦国時代では、
戦争を行う判断は、国の行く末を決める重大な判断であることに間違いはなかったでしょう。
それでも、こういった教訓が出ているということは、
計画を立てない事例も多かったということではないでしょうか?
「当たり前だろ。」と思うことほど大事にして、肝に銘じておかなければならないと思います。
情報を集めてメリット・デメリットを確認しよう!
それでは、どのように活かしていけば良いのでしょうか。
さまざまなシチュエーションで「やるのか?やらないのか?」を判断することありますよね。
小さなものですと「これ、明日までにやっといてくれる」と言われた仕事だったり、
大きなものですと「国家の重大プロジェクト」など、さまざまなだと思います。
その重要度に応じて考える時間も様々だと思いますが、
孫子を参考にするのであれば、まずはメリットデメリットを判断する情報収集を行います。
孫子の兵法の計篇(計画を立てる章)では「五事七計」といった尺度で、
自分たちの分析、そして、相手がいれば相手の分析を行い、その二つを比較して勝算を判断します。
現代で活用するのであれば、
例えば自社の強みや弱み、機会や脅威などをプロットしたSWOT分析などを活用して、
まずはどういった状況に自分たちはいるのか?といった情報収集を行います。
その上で、メリットデメリットを比較していきます。
「この仕事やっといてくれる?」と言われた時でも、少し頭の中で考えてみてもよいでしょう。
「この仕事受けたら、上司からも良く見られるメリットがあるなぁ。」
「しかし、この仕事を受けたら、残業時間が長くなるデメリットがあるなぁ。」
「しかし、しかし、残業代ももらえるぞ。うーん。」
といったように、メリット・デメリットを比較してみましょう。
上記は小さな例ですが、少し視点を変えると、
「もうこの会社は嫌だ!転職してやる!!」と、転職を考えているシチュエーションがあるとしましょう。
まずは落ち着いて自己分析、市場の分析、
その上で転職という行動に対するメリット・デメリットを考えてみましょう。
本当に受けていい? 手を動かす前にしっかり判断をしよう!
スタートアップやキックオフミーティングなどで「やってみないと分からない!」という言葉が飛び交うことがあります。
また、スケジュールや予算があらかじめ決まっていると、
計画を考る時間や議論する時間がカットされる傾向にあります。
好機を逃さないために、あまり考えずに実行に移すこともあるでしょう。
しかし、分析が出来ないまま実行に移すことで大きな代償を払うこともあります。
一見「好機に見えてしまうもの」もあるでしょう。
分析の出来ていない好機は「ただの幻」である可能性もあります。
本日は孫子の兵法から、手を動かす前にしっかり状況判断を行う教訓について書いてみました。
孫子の兵法ってウルトラCのような、
「これだけやれば、あなたも勝てる!」といった劇薬のような内容ではないですよね。
どちらかというと「確かにそうだな。」
「当たりまえのことだけど、出来てなかったかも。」といった気づきを与えてくれる内容なのです。
「算多きは勝ち、算少なきは敗る」
国の存亡をかけた戦争が存在していた春秋戦国時代からの教訓が、今を生きる我々に語りかけてくるようです。
参考書籍:孫子 (講談社学術文庫) 著者:浅野 裕一